備蓄・食事

防災備蓄と非常持ち出し袋はどう違う?水・食料の量とローリングストック

家の備蓄は、災害後の生活を続けるために置いておく物。非常持ち出し袋は、避難するときに自分で運ぶ必要品です。 水や食品など同じ品目が入ることはありますが、家庭の備蓄をすべて袋に詰めて運ぶわけではありません。

飲料・調理用の水は、1人1日おおよそ3Lを目安に、人数と日数を掛けて計算します。ここから手持ちの量を引けば、買い足す量が分かります。電気や水道、物流が止まると、ふだんのように購入したり調理したりできないことがあります。「何を買うか」の前に、誰が、何日、どこで使う物かを分けて考えましょう。

防災備蓄と非常持ち出し袋はどう違う?水・食料の量とローリングストックを案内するそなまる
そなまると学ぶ地震への備え
この記事の内容

家で使う備蓄と、避難時に持ち出す物を分ける

家に置く備蓄には、水や食品のほか、停電時の照明、連絡手段の電源、トイレや衛生のための物などがあります。電気や水道が使えない状況で、自分や家族に何が必要になるかを考えます。内閣府「停電対策」、農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」

一方、持ち出し袋は、避難するときに必要な物を運ぶための準備です。物がそろっていても、重くて動けなくなったり、子どもの手を引けなくなったりすれば避難の支障になります。実際に持って、安全に運べるかを平時に確かめます。

家に置く複数日の水や食品と、避難時に自分で運べる必要品を入れた袋を並べた図

同じ品目が両方に入ることはあります。家庭の備蓄をすべて運ぶという意味ではありません。

例えば、飲料水は家にも持ち出し袋にも必要になりますが、家庭で数日間使う量をそのまま背負う想定にはしません。家の備蓄量を決める作業と、避難時に運ぶ量を決める作業を分けてください。

また、備蓄があることは、危険な建物や津波の危険がある場所にとどまる理由にはなりません。避難先と経路の確認は単元6:地域の危険の調べ方を参照してください。

水と食品は、人数と日数を掛けて考える

農林水産省は、災害に備えた食品を、最低3日分、できれば1週間分程度、家族の人数分用意することを示しています。必要な内容は、一緒に生活する人数や食事の条件で変わります。地域で想定される状況や自治体の案内も確かめ、家庭の事情に合わせて日数や内容を考えます。農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」

飲料・調理用の水は、1人1日おおよそ3リットルが目安です。水を飲む分だけでなく、調理に使う分を含む量として考えます。農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」

飲料と調理用水の目安1人1日3リットルから、2人分の3日間は18リットル、7日間は42リットルと計算する図

2人暮らしの計算例です。飲料・調理用の目安で、トイレなどの生活用水は含みません。

2人暮らしなら、3日分は「3リットル × 2人 × 3日」で18リットル、7日分なら42リットルという計算になります。これは家庭に置く量を考えるための例で、2人に一律に決めた必要量でも、そのまま持ち出す量でもありません。

この3リットルの目安には、トイレを流す水などの生活用水は含まれません。用途を混ぜて数えると、飲むための水が不足しかねないため、別に考えます。飲料・調理用の水は、その用途に適した安全な水を用意し、表示された保管条件などを確認してください。農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」

食品は「3日分」と表示されたセットの数だけでなく、家族が実際に食べられるかを見ます。ふだんの食品の在庫を確認し、不足分を補うところから始めると、量と内容を把握しやすくなります。農林水産省「災害時に備えた食品ストック」

4人家族・7日分なら、手持ちの水から何本足せばよい?

ここでは4人で7日分を備え、家には2Lの水が12本あると仮定します。自治体の必要量を調査した値ではなく、計算の仕方を示す例です。

計算するもの 計算 結果
飲料・調理用に備える目安 4人 × 7日 × 3L 84L
いま家にある量 2L × 12本 24L
買い足す量 84L − 24L 60L
2Lボトルで買い足す場合 60L ÷ 2L 30本

追加するのは84Lではなく、不足している60Lです。 未開封で飲用に使える水を数え、期限・保管条件も確認します。トイレなどの生活用水や、すでに別用途に回す水を同じ在庫へ混ぜないでください。3Lという目安は農林水産省の案内に基づきます。農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」

この量を全部持ち出し袋へ入れるわけではありません。家で使う分の保管を考えたうえで、持ち出す物は実際に運べるかを別に確かめます。非常持ち出し袋が重すぎるときの分け方も参照してください。

水を数えたら、食べられる1食を組み立てる

食品は、缶詰や袋の個数だけでは何日分か決まりません。量や中身を見て、家族が食べられる主食・おかずなどを組み合わせます。乾麺や米があっても、水と加熱手段がなければ、そのまま食べられる食品と同じには数えられません。農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」

買い物の前に、次の形で手持ちの物を書き出すと、同じ品目の買い過ぎと不足を分けられます。

品目 目標量 使える在庫 不足量 期限・調理条件
飲料・調理用水 人数×日数×3L 容量×本数 目標−在庫(足りていれば0) 飲用可否と保管条件
家族が食べられる食品 家族の食事量×日数 実際に食べられる量を確認 足りない食事を補う 加熱・水・開封器具の要否

この表は防災DBの整理用メモです。アレルギーや乳幼児食などの条件は家族ごとに確認し、食品のラベルと普段の食事に合わせて書き込んでください。

停電・断水でも食べられるか、家族が使えるかを確かめる

冷蔵庫や電気調理器具は、停電中にいつもどおり使えるとは限りません。食品の備蓄では、加熱や水が必要か、開封に器具が必要か、どう保管するかも確認します。「食品はあるが、食べられる状態にできない」という事態を避けるためです。内閣府「停電対策」、農林水産省「食品ストックガイド」

確認する内容は、次のように用途で分けられます。

用途 自宅で確かめること
食べる・飲む 水や加熱が必要か。調理の手段が使えないときにも食べられる物があるか
照らす・連絡する 電池式の照明や携帯電話の予備電源が使えるか
トイレ・衛生 水が使えない場合に備えたトイレ用品や衛生用品があるか
家族ごとの必要品 アレルギー、乳幼児、高齢者、持病などに合う物があるか

食物アレルギーがある人、乳幼児、かむ・飲み込むことに配慮が必要な人などは、配られた食品や一般的な備蓄食品をそのまま食べられない場合があります。家庭で必要な食品を確認し、ふだん食べ慣れた物も含めて準備します。農林水産省「災害時に備えた食品ストック」

薬や医療機器に関する備えは、量や代わりの方法を自己判断で決めず、かかりつけの医療者などに確認してください。電気を使う医療機器がある場合は、予備電源などの停電対策も必要です。内閣府「停電対策」

停電で何が使えなくなるかは単元1:地震による暮らしへの影響で、感震ブレーカーと照明を組み合わせた備えは単元9:電気火災の予防で確認できます。

ふだん食べて補充する、ローリングストック

ローリングストックは、ふだん食べる食品を少し多めに置き、期限の近い物から使って、減った分を買い足す方法です。非常用として買ったまま忘れるのではなく、日常の食事で在庫を入れ替えます。農林水産省「災害時に備えた食品ストック」

食品を少し多めに備え、期限の近いものから食べ、使った分を補充する循環図

買い置きを日常の食事で回す方法です。災害時にも食べられる条件と必要量を確かめておきます。

まず、家にある食品を並べ、家族が食べられる物と日数分の量を確認します。期限の近い物を取り出しやすくし、使った分を買い物のメモに加えます。補充を忘れて在庫が減り続けないよう、最低限置いておく量も家族で共有しておきます。

保管場所は、製品の条件に合うことに加え、必要なときに取り出せるかも確認します。家具の転倒で収納の扉が塞がれる、重い箱を一人では取り出せないといった状態では使いにくくなります。持ち出し袋も、家族の体力や必要品が変わったら重さと中身を見直しましょう。

今日できるのは、家にある飲料水の量を数え、人数と日数に照らすことです。足りない物を一度に買いそろえる前に、「いま何日分あるか」「調理できなくても食べられるか」を確かめてください。

備蓄と一緒に、自宅周辺のリスクを確認する

住所を入力して、自宅周辺の災害リスクを確認する(防災DB)

備蓄品の量だけで、避難の必要性は判断できません。地域の危険や避難先は単元6:地域の危険と避難先の調べ方、寝床や出口の安全は単元8:寝る場所と出口を守る家具対策で確認し、物の準備と行動の準備を合わせて進めましょう。