住まい

ハザードマップで色がついていない場所は安全?凡例と公式地図で確かめる順番

自宅に色がついていないことだけでは、安全と判断できません。 まず、表示している災害の種類、地図の想定条件、色の意味を説明する「凡例」を確かめます。そのうえで、自治体の公式地図で同じ場所を見て、ほかに確認する災害や資料がないかを調べましょう。

国土地理院は、リスクが表示されない理由として、そのデータで被害が想定されていない場合のほか、データが未整備の場合や、新しい情報の反映に時間がかかる場合を説明しています。国土地理院のFAQ

この記事は、普段の備えとして地図を読むためのものです。大雨などが迫っているときは、自治体の避難情報や気象情報に従って身の安全を確保してください。

無着色の家の位置と地図の凡例を見比べる様子
地図の色だけでなく、対象の災害と想定条件も確かめます。
この記事の内容

最初に見るのは「災害の種類・想定条件・凡例」

地図の色を見比べる前に、次の3か所を探します。PDFなら表題・凡例・欄外の注記、Web地図なら表示中の項目名や説明欄が手がかりです。

確認すること 探す記載 読み取ること
災害の種類 洪水、内水、土砂災害、津波などの名称 今見ている地図が、どの災害を扱うか
想定条件 対象河川、想定最大規模・計画規模、作成時点など どんな条件で作られた資料か
凡例 色の横の数値・単位、区域の名称 色が示すのは浸水深か、区域の区分か

地図の表題、想定条件の注記、色の凡例という三つの確認箇所を示す説明図 自宅の色を見る前に、地図が何を表しているかを読みます。図は確認箇所を示すための模式図です。

洪水の「想定最大規模」と「計画規模」は、前提にする雨の規模が違います。また、古い凡例と新しい凡例では区分が違うことがあります。別の地図で同じ色に見えても、同じ意味とは限りません。 国土地理院FAQ・想定規模と凡例の説明

例えば、見ている凡例に「3.0m以上5.0m未満」とあれば、その幅の区分として読みます。色から「ここでは必ず4mになる」とは読み取れません。浸水深は、おおよその地面からの深さです。色の濃さを、そのまま災害の発生確率や自宅の安全度として扱わないでください。国土地理院FAQ・浸水深の説明

洪水の地図を見ても、内水まで確認したとは限らない

河川が氾濫して水が広がる場合と、大雨で下水道などに雨水を取り込めない、または川へ排水できない場合では、水がたまる仕組みが違います。後者は「内水」や「雨水出水」と呼ばれます。国土交通省「浸水想定区域制度」

河川から住宅地へ水が広がる場合と、街の雨水の排水が追いつかない場合を比較する説明図 河川の氾濫と雨水の排水を分けて考えると、追加で確認する地図を選びやすくなります。実在する地域の浸水想定図ではありません。

地図の表題が「洪水」なら、自治体の公式ページで「内水」「雨水出水」という別の資料も探してください。一つの地図にまとめて載せている自治体もあれば、別のPDFで公表している自治体もあります。見つからないときは、「この自治体では内水の浸水を確認できる資料はありますか」と問い合わせると、知りたい対象を伝えられます。

具体例:海老名市では、同じ地区の別の地図を開く

海老名市の公式ハザードマップ一覧には、相模川の洪水を扱う地図と、ほかの河川の洪水・内水を扱う地図が分けて掲載されています。例えば「中部」の資料は、次の組み合わせです。

公式一覧で開く資料 一覧に記載されている対象 見比べるときの確認
P.30〜31 ハザードマップ(2)-2【中部】(PDF・約21MB) 相模川洪水、土砂災害 自宅が載る範囲と、その場所の凡例
P.36〜37 ハザードマップ(3)-2【中部】(PDF・約15MB) 目久尻川・永池川・鳩川洪水、内水 同じ場所について、こちらの想定も確認

この例で確認できるのは、相模川の地図だけでは、別の資料に載る河川や内水まで見たことにならないという点です。二つの資料で自宅の位置を探し、それぞれの凡例を読んでください。ここでは特定の住所の深さや、区域に入るかどうかを判定していません。

海老名市について資料を探す場合は、海老名市のハザードマップページにも公式資料への案内があります。ほかの自治体でも、まず資料一覧の「地区」と「対象の災害」を組み合わせて探すと、確認漏れを減らせます。

色がない・境界が近いときに、自治体へ確認すること

色がないときは、自治体の地図にある掲載範囲、作成時点、注記を見ます。自宅の周りの低い土地や崖、避難先までの道も確認対象です。内閣府の判定フローも、無着色の場所でも周囲より低い土地や崖のそばでは、自治体の避難情報を参考に必要に応じて避難するよう示しています。内閣府「避難行動判定フロー」

境界付近では、画面を大きくすれば判断が確定するわけではありません。拡大は表示を大きくする操作で、元のデータや背景地図の精度を高めるものではないためです。詳しい情報は、自治体や河川管理者が公表する原図と注記で確認します。国土地理院FAQ・Q24

それでも判断に必要な情報が分からないときは、地図に記載された担当課や、公式配布ページの問い合わせ先へ、次のように伝えられます。

「○○ハザードマップ」の○年版、○ページを見ています。○○町のこの場所について、色がないのは、この図の想定区域外という意味でしょうか。未掲載の範囲でしょうか。内水など、併せて確認する別の地図はありますか。

○の部分は自分が見た資料と場所に置き換えます。これは問い合わせ文の例です。資料名と版、場所を一緒に伝えることで、どの地図について確認したいかが明確になります。

色がある場合も、二階の有無だけで避難方法を決めない

洪水の資料では、浸水深に加えて、水が引くまでの時間や、家屋の倒壊・流失が想定される区域も確かめます。洪水浸水想定区域図には、想定される水深や浸水継続時間などが公表されています。国土交通省の解説

内閣府のガイドラインでは、洪水等・高潮で自宅などにとどまる「屋内安全確保」を行うには、少なくとも次の条件を自分で確認・判断する必要があるとしています。

条件 平時に確かめるもの
家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていない 自治体や河川管理者の該当する区域図
浸水しない居室がある 想定浸水深と、自宅で使う部屋の位置
一定期間浸水することで生じる支障を許容できる 水・食料・薬の確保、停電・断水・トイレへの備え

土砂災害や津波では、建物が倒壊するおそれがあるため、立退き避難が原則です。洪水での条件をそのまま当てはめず、対応する災害の避難方法を確認してください。内閣府「避難情報に関するガイドライン」16〜17ページ

地図を閉じる前に、家族へ残すメモ

家族と話すときは、地図の画像だけでなく、見た資料と未確認のことも残しておきましょう。次の表は、そのまま手元のノートへ写して使えます。

残す項目 自分の地域について書くこと
見た地図 災害の種類、対象河川、想定条件、資料名と版
分かったこと 自宅や避難経路について、凡例・区域図から読めたこと
未確認のこと 見つからない別の地図、境界や注記で分からない点、問い合わせ先
家族と決めること その災害に対応する避難先の候補、避難に時間がかかる人

二人の家族が地図を見ながら、見た地図・分かったこと・未確認のことを分けてメモする場面 「どの地図を見たか」と「まだ分からないこと」も、一緒に残しておきます。

避難先は近さだけで選ばず、対象の災害に対応しているかを確かめます。身を寄せられる親戚・知人宅があるか、家族に避難に時間がかかる人がいるかも、平時に相談しておく項目です。内閣府「避難行動判定フロー」

離れているときの伝え方まで決めるなら、家族の連絡方法と、返事がないときの約束も確認できます。まず自宅の場所から調べる場合は、防災DBの地図を開き、表示中の災害と凡例を確かめたうえで、自治体の公式地図と照らし合わせてください。