家族の防災備蓄を見直すチェックリスト|足りないものと買い足す量の決め方

家族の防災備蓄は、人数と備える日数を決め、家族が実際に使える在庫を数えると、不足が見えてきます。水・食料・携帯トイレの量を確認したら、調理や充電に必要な道具、家族専用の食品や用品も点検しましょう。

この記事では、最後の記入表に「買い足す品目と数量」「使えるか確認すること」をまとめます。棚にある箱や袋を、そのまま家族の備えとして数えてよいか確かめるための手順です。

制作:防災DB。日本国内の家庭が平時に行う備蓄点検を対象とします。公的資料をもとに、点検表と計算例を作成しました。家庭での実測・使用試験、専門家による監修は行っていません。

備蓄棚の水や食品を家族で点検するイメージ
家庭の備蓄点検を表したイラストです。
この記事の内容

家族の人数と備える日数を決める

最初に、紙やメモへ次の条件を書きます。

  • 備える人数:家族全員で何人か。専用の食品や用品が必要な人は誰か。
  • 点検する日数:まず3日分の不足を確認し、7日分まで増やす場合の不足も出す。
  • 在庫の置き場所:台所、収納棚、持ち出し袋など。別の場所にある同じ品物を二重に数えない。

農林水産省は、食品の家庭備蓄について、人数分の最低3日分から1週間分を望ましい目安としています。東京都も、まず3日分を目標とし、1週間やその先を見据えて進めるよう案内しています。農林水産省「災害時のために、備えていますか?」、東京都「備蓄って何のため?」

3日・7日は備蓄の計画日数で、復旧を保証する日数ではありません。 水道や物流がいつ戻るか、自宅で何日安全に過ごせるかを、この点検で判定することはできません。

携帯トイレは、経済産業省が1週間分の備蓄を推奨しています。以下では3日分を途中の点検として示し、7日分への不足も記録します。内閣府掲載・経済産業省「トイレ備蓄忘れていませんか?」

家に置く備蓄と持ち出す物は、使う場面を分けて記録してください。家の在庫すべてをリュックへ入れる必要はありません。持ち出す量も見直したい場合は、防災リュックと家に置く備蓄の分け方で確認できます。

水・食料・トイレの不足分を出す

水、食品、携帯トイレをそれぞれの単位で数え、点検表に記録する家族のイラスト 箱の数ではなく、水はL、食料は食事への割り当て、携帯トイレは使用回数で確認します。

不足分は、目標量から使える在庫を引いて求めます。 引いた結果がマイナスなら、不足量は0です。

ここでいう「使える在庫」は、表示や家族との適合を確認し、使うための水・道具などもそろっている物です。条件が未確認の物は、いったん「確認待ち」に分けます。買う前に条件を確認できれば、在庫へ戻して不足量を計算し直せます。

水:容量をLにそろえる

飲料用・調理用の水は、1人1日3Lを目安に計算します。農林水産省の説明では、湯せんや食品・食器を洗う水は別途必要です。洗濯やトイレ用を含む生活用水の総量ではありません。農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」

水の目標量=3L×人数×日数。

市販のボトル水なら、保存方法・期限の表示を確認して、容量×本数を合計します。2Lが24本あれば48Lです。状態や表示から扱いを判断できない物は、この記事だけで飲用可能とせず、確認待ちにしてください。

成人4人、使える水が48Lある場合の計算例です。実際の家庭を調査した数値ではありません。

点検項目 3日分 7日分
目標量 36L 84L
使える在庫 48L 48L
不足量 0L 36L

7日分までの不足36Lを2Lボトルで補うなら、36÷2=18本です。本数に端数が出た場合は切り上げます。箱で買う場合も、商品表示の本数で割り、必要な箱数を切り上げてください。

この例は3日分と7日分を別々に比較しています。両方の目標量を足す計算ではありません。家族人数ごとの一覧が必要なら、家族の備蓄水の必要量・本数・不足分の計算も参照できます。

食料:袋数を朝・昼・夕の献立に置き換える

食品は「20袋あるから20食分」と合計する前に、誰のどの食事で使うかを決めます。農林水産省は、家庭にある食品を確認し、栄養バランス、家族の人数や好みに応じて内容と量を決めるよう案内しています。農林水産省「備蓄食品の選び方」

点検では、次の順に食品を献立へ割り付けます。これは公式資料をもとにした編集部の点検方法です。

  1. 家族それぞれの食事の枠を作る。普段1日3食なら、人数×3×日数を記入枠にする。
  2. 各枠へ主食とおかずを割り付ける。主菜・副菜も確認し、同じ食品を別の食事へ重複して入れない。
  3. 内容量、食べやすい形態、アレルギーなどを確かめる。
  4. 常温保存の可否、期限、調理表示を読み、必要な水・熱源・器具を照合する。

4人が1日3食をとる家庭なら、3日分は36枠、7日分は84枠です。これは献立を書く枠数であり、非常食を36袋・84袋買えば足りるという意味ではありません。

たとえば米10袋とレトルトカレー10袋があっても、合計20袋をそのまま完全な20食とは数えません。米の内容量、カレーが何人分か、家族が食べられるかを確認し、組み合わせて献立へ入れます。1人分の主食10個と1人分のカレー10袋なら、組み合わせは10組です。それだけで量や栄養が十分かは別に確認します。

献立を見て分かったこと 点検表への記録
主食はあるが、おかずを割り付けられない枠がある 足りない主菜・副菜と人数分を書く
加熱が必要だが、加熱手段がない 「調理条件の準備が必要」と書く
家族の一人が食べられない食品がある その人の枠から外し、代わりの食品を書く

水やお湯、コンロ、燃料、鍋なども食品を使うための備えです。食品と合わせて必要な道具を確かめます。農林水産省「熱源を確保しよう」

食品の枠が埋まっても、栄養の充足を保証するものではありません。乳幼児や療養中の人の量・食事内容は、それぞれの条件に合わせて決めます。

携帯トイレ:箱数ではなく使用回数で数える

経済産業省の記事は、成人の平均排泄回数を1人1日5回とし、1週間で1人35回分、4人なら140回分を推奨しています。5回は備蓄計算の目安で、トイレの回数を制限する値ではありません。内閣府掲載・経済産業省の備蓄目安

携帯トイレの目標量=家族の1日使用回数の合計×日数。

成人4人に平均5回を当てはめ、使える在庫が60回分ある場合は次のとおりです。

点検項目 3日分 7日分
目標量 60回分 140回分
使える在庫 60回分 60回分
不足量 0回分 80回分

7日分までの不足は80回分です。50回分入りの商品だけで補うなら、80÷50=1.6を切り上げて2箱。購入後は160回分になります。これも編集部による仮定の計算例です。

在庫は袋の枚数だけで判断せず、製品表示の使用回数と必要な付属品を確認します。家族の普段の使用回数が多ければ、その回数で計算し直してください。

数だけでは分からない不足を点検する

食品と調理用の水、消灯したライトと対応する電池を組み合わせて点検するイラスト 品物があっても、必要な水や電源が欠けると使えません。

家族が使えないものは、その人の備えとして数えません。 食品の適合と、道具が動く条件を、数量とは別に見ます。

調理・照明・充電:一緒に使う物まで確認する

東京都は、懐中電灯、充電式ラジオ、カセットコンロなどが実際に使えるか、定期的な確認を勧めています。次の表は、その考え方と農林水産省の熱源の案内を点検項目にしたものです。東京都の動作確認の案内、農林水産省の熱源・器具の案内

点検する組み合わせ 確認すること
食品+調理手段 必要な水、加熱手段、対応する燃料、鍋や食器があるか
ライト+電池 電池の種類・必要本数が合い、点灯するか
スマートフォン+充電手段 ケーブル・端子が合い、充電できるか
携帯トイレ+付属品 製品に必要な袋などがそろい、設置・使用後の保管方法が分かるか

たとえば懐中電灯が1個あっても、対応する電池がなければ「備え済み」にはしません。「表示を確認して必要な電池を用意する」「電池を入れて点灯を確かめる」の両方を記録します。機器や火器は取扱説明書に従って確認し、外観や所有年数だけで安全性・故障の有無を判定しないでください。

集合住宅では、共用備蓄の配布条件や、停電中に使える設備も確認事項になります。家庭の在庫と共用設備を分けて調べたい場合は、マンションの在宅避難と設備の確認が参考になります。

家族専用品:使用する人と普段の量を書く

農林水産省は、乳幼児、高齢者、慢性疾患のある人、介護を要する人、食物アレルギーのある人などに配慮した食品を別途準備するよう案内しています。農林水産省の家庭備蓄の案内

共通用品では、歯磨きなど口腔ケア用品、体を拭く用品、ポリ袋も見ます。必要な人の欄には、乳幼児・介護用の食品や用品、生理用品、常用薬、お薬手帳などを追加してください。新座市の自宅備蓄チェックリストにも、生活用品・衛生用品・常備薬が掲載されています。新座市「女性のための防災BOOK」冊子2〜3ページ

一律の必要量を置きにくい物は、本人が普段使う量から考えます。おむつなら、今のサイズ、1日に使う枚数、備える日数を記録します。肌に合うか、本人が使い慣れているかも確認事項です。

薬の確保量・保管条件は、処方元や薬剤師への相談事項として残します。自己判断で用量を変えて備蓄を増やすことはしません。医療機器の電源計画も、一般のスマートフォン充電と同じ扱いにせず、医療機関や機器の提供元と個別に決めてください。

買い足し表と次の点検日を決める

期限の近い食品を手前に置き、使った分を買い物メモへ記入するイラスト 期限を見て使い、減った分を補充する流れを家族で共有します。

買うものと、使えるか確認するものを分けましょう。 数が少ないのか、使うための道具が欠けているのかで、次の対応が変わります。

7項目を使って、点検結果を一枚にまとめる

一枚の紙や家族で共有するメモに、品目ごとに次の7項目を書いてください。スマートフォンでも項目を追いやすいよう、記入例と空欄を縦に並べています。必要な品目の分だけ繰り返して使います。

点検日:__年__月__日/人数:__人/計画日数:__日

項目 記入例:水 自宅の記入欄
品目 飲料・調理用の水 ____
使用する人 成人4人 ____
目標量 7日分・84L ____
使える在庫 48L・台所収納 ____
不足量 36L ____
使用条件 保存方法・期限の表示を確認 ____
次の対応 買う:2Lを18本 ____

目標量がまだ決められない物は「要相談」、使用条件が分からない物は「確認待ち」と書きます。不明な量を0で埋める必要はありません。確認後に在庫と不足量を更新します。

ほかの品目も、次のように数量と対応をつなげます。数値や在庫の状態は記入方法を示す仮定です。

点検結果の記入例 次の対応の記入例
成人4人の携帯トイレ:目標140回分、在庫60回分、不足80回分 買う:50回分入りを2箱。製品の付属品も確認
家族の一人の昼食:主食はあるが、食べられる主菜が1回分ない 買う:本人に合う主菜1回分。内容量と表示を確認
ライト:本体はあるが対応電池がない 確認する:電池の種類・本数。購入後に点灯確認
常用薬:在庫はあるが追加の確保量が未定 相談する:処方元や薬剤師に量と保管条件を確認

書き終えたら、水・食料・携帯トイレに加えて、調理・照明・充電、衛生用品、家族専用品の記入漏れを確認します。食品は「何袋」だけでなく、誰のどの食事に何が足りないかまで残してください。

最初の対応と、補充する日を決める

一度に準備しきれない場合は、本人に不可欠で代替しにくい物や、まったく用意できていない生活手段から確認することを編集部では提案します。続いて水・食品の3日分の欠落を埋め、7日分への追加も計画します。携帯トイレは、推奨される7日分までの不足を残さず書きます。この順番は全国一律の公式順位ではなく、点検結果から着手するための考え方です。

食品は期限の近い物を取り出しやすくし、日常の食事で使った分を補充します。期限を考えながら消費し、減った分を買い足して在庫を保つ方法がローリングストックです。農林水産省「簡単!ローリングストック」

新座市の点検表も、備蓄品の点検日を決めることを勧めています。次の点検日を家族で選び、食品の期限や家族のサイズ・必要品が変わる時期も考慮してください。新座市の自宅備蓄チェックリスト

最後に、表から一つ以上の対応を選び、次の空欄を埋めます。

  • 次に買う品目・数量、または確認すること:____
  • 対応する人・対応日:____
  • 消費した分の補充方法:____
  • 次の点検日:__年__月__日

たとえば「食品を使った日に買い物メモへ記入し、次の買い物で補充する」「来月の第1日曜に家族で再点検する」と決められます。毎月1回という頻度は一例で、全国共通の義務ではありません。